一般社団法人地域創生インバウンド協議会 一般社団法人
地域創生インバウンド協議会

会員ページ

2026.02.27

インバウンド対策とは?自治体・企業が取り組むべき集客手法と成功の秘訣

インバウンド対策を始めたいけれど、何から手を付ければよいのかわからず悩んでいませんか。 2026年の今、訪日客のニーズはますます多様化しています。 読者の皆さまは、以下のような不安を抱えていることでしょう。

  • 英語ができるスタッフがいなくて不安
  • どの決済ツールを選べばよいかわからない
  • SNSで発信しても集客につながらない
  • 地域の魅力を海外へ伝える方法がわからない

この記事の結論は、個別の対策を「点」で終わらせず、データとネットワークをかけ合わせた「面」の戦略をとることです。 

なぜなら、現在の観光客は自分にぴったりの体験を求めており、古い手法だけでは選ばれにくくなっているからです。 受け入れ態勢の整備から最新のプロモーション手法まで、具体的な道筋を紹介しましょう。

この記事でわかること

  • 2026年のインバウンド市場の最新動向
  • 訪日客を逃さない受け入れ態勢の作りかた
  • SNSやWebを駆使した効果的な集客術
  • データ分析とメディア連携による成功事例
  • 2026年度に活用できる補助金やパートナー選び
この記事の要約はこちらをクリックしてください

2026年のインバウンド対策は、個別のツール導入といった「点」の施策から、データとネットワークを駆使した「面」の戦略への転換が成功の鍵を握る。訪日客のニーズが体験重視の「トキ消費」へ移行するなか、多言語対応やキャッシュレス決済などの受け入れ態勢を整えることは最低限の条件である。その上で、専門パートナーと共創することで、確実な集客と売上向上につなげることが可能だ。人手不足やオーバーツーリズムといった課題にもIT活用で賢く対応し、持続可能な観光を実現しよう。まずは身近な改善から始め、専門家の知見を取り入れることが次の一手への近道となる。


2026年現在のインバウンド市場動向と対策が急務な理由

かつてのインバウンドは、有名な観光地を巡り、大量に買いものをするスタイルが主流でした。

しかし、2026年現在は市場の成熟とともに、訪日外国人の意識は大きく変化しています。

変化する訪日外国人の消費スタイル

現在の訪日客は、自分だけの特別な体験を重視する傾向が強まっています。

政府の観光立国推進基本計画においても、持続可能な観光や消費額の拡大が目標とされています。

単に日本を訪れるだけでなく、その土地の文化に深く触れたいという欲求が高まっているのです。

「モノ」から「コト」、そして深まる「トキ消費」へのシフト

「コト消費」と呼ばれた体験型観光は、さらに「トキ消費」へと進化しました。

トキ消費とは、その場所、その時間でしか味わえない限定的な体験を指します。

たとえば、特定の季節の早朝にしか見られない絶景や、地域住民との交流会などが該当します。こうした価値を求めている層は、付加価値に対して高い対価を支払う傾向にあります。

なぜ今、従来の「看板を出すだけ」の対策では通用しないのか

街中に英語の看板が増えたことで、物理的な不便さは解消されつつあります。しかし、それだけでは競合他社や他地域との差別化ができません。

ネット上の膨大な情報のなかから選ばれるためには、共感を呼ぶストーリーや利便性が不可欠です。

看板を出すだけの「受け身の対策」から、自ら情報を届ける「攻めの対策」への転換が必要です。

国別・目的別にみるターゲット選定の重要性

すべての国の人に等しくアプローチするのは、予算やリソースの無駄になりかねません。

欧米圏の観光客は長期滞在による地方周遊を好み、アジア圏はSNS映えやトレンドを重視します。ターゲットとする国が異なれば、好まれるデザインや訴求するキーワードも変わるでしょう。

まず、自社や自地域に「誰に来てほしいのか」を明確にすることから対策は始まります。

【基本編】訪日客を逃さない「受け入れ態勢」3つの柱

集客を行う前に、まずは訪日客が安心して過ごせる環境を整える必要があります。

ここでは、最低限押さえておくべき3つの基本項目を解説しましょう。

1. 多言語対応の最適化とデジタルの活用

多言語対応は、スタッフが英語を完璧に話せる必要はありません。大切なのは、訪日客が自分で情報を取得できる仕組みを作ることです。

翻訳ツールの活用と、人の手による「おもてなし」のバランス

現在はAI翻訳の精度が飛躍的に向上しています。翻訳機やタブレット端末を活用すれば、複雑な注文や質問にもスムーズに対応できるでしょう。

一方で、心のこもった挨拶や笑顔といった、人間にしかできない対応も忘れてはいけません。

システムで効率化し、浮いた時間でおもてなしの質を高めるのが理想的です。

メニューや案内板だけではない「Web上の情報」の多言語化

現地での対応と同じくらい重要なのが、WebサイトやSNSの多言語化です。

訪日客は来日前にネットで詳細な情報を調べています。公式サイトが日本語だけだと、その時点で選択肢から外れてしまう可能性が高いでしょう。

主要なページだけでも多言語で用意し、検索で見つけてもらえる状態にしてください。

2. ストレスフリーな決済環境の整備

決済のしやすさは、そのまま消費額の増減に直結します。

キャッシュレス決済の導入が客単価を押し上げる理由

手持ちの現金が足りないために購入を諦める訪日客は少なくありません。

クレジットカードはもちろん、QRコード決済や電子マネーなど、多様な手段を用意しましょう。

特に、自国で使い慣れた決済手段が使えることは、大きな安心感につながります。

以下の表に、主要なターゲット国と推奨される決済手段をまとめました。

ターゲット国・地域推奨される決済手段
欧米圏クレジットカード(Visa, Mastercard, AMEX)のタッチ決済
Google Pay, Apple Pay, PayPal
中国Alipay, WeChat Pay
韓国クレジットカード(Visa, Mastercard)
Naver Pay, Kakao Pay
台湾クレジットカード(Visa, Mastercard)
JKOPAY, LINE Pay

3. インフラ整備と快適な通信環境

旅行中のストレスを軽減するインフラは、滞在満足度を大きく左右します。

Wi-Fi設置と二次交通(ラストワンマイル)の課題解決

無料Wi-Fiは、今やインフラとして必須の設備といえます。

SNSへの投稿や地図アプリの利用をスムーズにすることで、地域の魅力拡散が期待できます。

また、地方における「駅から目的地までの移動手段」の確保も重要な課題です。シェアサイクルの導入や、アプリで呼べるデマンドタクシーの整備などが有効でしょう。

【集客編】Web・SNSを駆使した戦略的プロモーション

受け入れ態勢が整ったら、次はいかにして自分たちの存在を知ってもらうかを考えます。

Googleマップ(MEO)対策による来店促進

街を歩きながら店を探す訪日客にとって、Googleマップは最強の集客ツールです。

口コミ返信と写真投稿が「選ばれる理由」になる

外国語で書かれた口コミには、翻訳機能を使って返信をしましょう。返信がある店は、訪日客から「歓迎されている」という印象を持たれやすくなります。

また、文字で説明するよりも、魅力的な写真一枚の方が言葉の壁を越えて伝わります。おいしそうな料理や、清潔な内装の写真を積極的にアップロードしてください。

ターゲット層に届くSNS運用のポイント

SNSは、旅のきっかけを作る「旅前」のプロモーションに最適です。

媒体主なターゲット特徴・強み
Instagram欧米、アジア全般写真・リール動画による視覚訴求。美しい風景や洗練された体験の紹介。保存機能で旅先リストに入れられやすい。
TikTok全世界の若年層短尺動画の圧倒的な拡散力。最新のトレンド発信に強い。流行の音源を活用して認知を広める。
Facebook欧米豪、東南アジア信頼性が高く、中高年層へのリーチやコミュニティ形成に有効。
小紅書 (RED)中国「中国版Instagram」。口コミ重視の文化で、訪日前の情報収集に必須。
YouTube全世界旅のVlogなど長尺動画で、深い理解や擬似体験を提供できる。

Instagramから開始し、中国市場も狙う場合は小紅書を併用するのが、現在のインバウンド対策における王道といえます。

旅前(タビマエ)・旅中(タビナカ)を意識した情報発信

プロモーションは、タイミングによって伝えるべき情報を変える必要があります。

旅前には「行きたい」と思わせる期待感を、旅中には「今すぐ行ける」利便性、キャンペーンやリアルタイムな発信でワクワク感を伝えます。

それぞれのフェーズに合わせた広告配信や投稿を心がけましょう。

【課題解決編】人手不足とオーバーツーリズムへの対応策

インバウンド客が増えることで生じる弊害についても、事前に対策を講じておくべきです。

IT・DX活用による業務効率化と省人化

人手不足は、多くの企業や自治体が直面している深刻な問題です。

セルフ決済やAIチャットボットで現場の負担を軽減する

注文や会計をセルフ化することで、スタッフが接客に集中できる環境を作れます。

また、よくある質問にはAIチャットボットが24時間体制で答えるようにすることで、電話対応やメールの返信にかかる時間を大幅に削減できます。

最新の技術を賢く取り入れ、少人数でも質の高いサービスを維持しましょう。

地域住民と共生する「持続可能な観光」の実現

特定の場所に観光客が集中しすぎる「オーバーツーリズム」への対策は、2026年の大きなテーマです。

混雑緩和対策とマナー啓発の具体的な手法

混雑状況をリアルタイムで発信・可視化を行い、空いている時間帯への分散を促します。

また、地域のルールやマナーを、イラストなどを用いてわかりやすく伝える工夫も必要です。

地域住民が不便を感じることなく、観光客を温かく迎えられるバランスを追求してください。持続可能な観光こそが、長期的な成功をもたらす鍵となるでしょう。

【事例】専門パートナーとの共創によるインバウンド対策事例

自社や自地域だけで対策を進めるには限界があります。

ここでは、当協議会の会員である企業や自治体が連携して成功を収めた事例を2つ紹介します。

事例①:データ分析とメディア連携によるエリアマーケティングの革新

あるインバウンド向けアプリ運営会社と、地域情報に強いメディア企業が協業した事例です。

位置情報データを活用した訪日客の行動可視化

アプリから得られるGPSデータを分析し、訪日客が「どこから来て、どこへ動いたか」を可視化しました。データに基づいた分析を行うことで、これまで見えていなかった潜在的なニーズが明確になります。

たとえば、「特定の国籍の人は、この神社の後に必ずあのカフェに寄る」といった動線がわかります。

コンテンツ企画力と発信力の掛け合わせが生む相乗効果

分析したデータをもとに、訪日客の好みに最適化された記事コンテンツを制作・配信しました。

さらに、データ分析とコンテンツ発信をパッケージ化した支援商材を、自治体向けに提供しています。感覚に頼らない「数字に基づいたマーケティング」により、確実な集客成果を上げています。

事例②:自治体主導の海外プロモーションとプレスツアーの成功

ある県が、海外PRに強みをもつ企業とタッグを組んで実施した海外メディア誘致の事例です。

海外メディアを惹きつける「外国人視点」のコンテンツ設計

自治体側が伝えたい情報だけでなく、海外メディアが「取材したい」と思う切り口を徹底的に調査しました。

外国人ライターの感性を取り入れることで、地域の観光資源を新たな視点で再定義しています。自分たちでは当たり前だと思っていた日常が、海外からは魅力的なコンテンツに見えることもあるのです。

大手媒体への掲載による認知拡大とブランド力向上の成果

約10社の海外有力メディアを招いたプレスツアーを実施し、現場での通訳やインタビューをサポートしました。

その結果、参加メディアの8割以上で記事化や映像化が実現し、世界中に情報が拡散されました。大手メディアへの掲載は信頼性の向上につながり、結果として地域ブランドの確立に成功しています。

インバウンド対策のパートナー選びと予算・補助金の考え方

効率的に対策を進めるためには、適切なパートナー選びと資金活用が欠かせません。

自社のフェーズに合った支援会社を見極める基準

支援会社には、Web制作、広告運用、DX化、コンサルティングなど、さまざまな得意分野があります。

まずは自社の課題が「受け入れ態勢」なのか「集客」なのかをはっきりさせましょう。その上で、同様の業種や地域での実績が豊富な会社を選ぶことが、成功への近道です。

官民連携(DMO・自治体)の枠組みを賢く活用する方法

地域のインバウンド推進を担うDMOや、自治体の観光課との連携も有効です。

個人店では難しい海外展示会への出展や、大規模なプロモーションに参加できる可能性があります。地域のネットワークを積極的に活用し、大きな流れのなかで自社の魅力を発信しましょう。

2026年度に活用したい補助金・助成金の最新情報

国や自治体は、インバウンド対策を支援するための補助金を多数用意しています。

多言語対応のための設備導入や、海外向けの広告費の一部が補填されるケースも多いです。

申請には期限や条件があるため、早めに商工会議所や専門の協議会へ相談することをおすすめします。最新の制度を賢く利用して、初期投資の負担を軽減させましょう。

インバウンド対策に関するよくあるご質問(FAQ)

英語を話せるスタッフがいませんが、何から始めればいいですか?

まずはイラスト付きの分かりやすい案内の作成や、翻訳アプリの導入から始めてください。

また、メニューに番号を振るだけでも、注文ミスを防ぎスムーズな対応ができるようになります。

言葉ができなくても「歓迎する姿勢」を伝える工夫から始めてみましょう。

SNS運用を始めたいのですが、どの媒体が最も効果的ですか?

ターゲットとする国によって異なりますが、

Instagram、Tiktok、Youtube、を王道として、中国なら小紅書(RED)でも発信をすることも検討してみましょう。

最初は複数の媒体で発信してみて、反応が良いものに注力していく方法が効率的でしょう。

地方の小さな店舗でも、高単価なインバウンド客を呼べますか?

はい、可能です。

高単価を支払う訪日客は「本物の体験」や「その土地独自の物語」を求めています。

大量生産ではない手仕事や、代々続く伝統などは、小さな店舗こそがもつ強みといえます。

オーバーツーリズムへの批判を恐れて対策に踏み切れません。

事前のルール作りと、情報の分散が解決の糸口となります。

「立ち入り禁止」を増やすのではなく、空いている場所や時間帯を魅力的に伝える工夫をしましょう。

地域住民との対話を重ね、双方がメリットを感じられる形を目指すことが大切です。

対策にかかる費用を抑えるために、自分でできることはありますか?

Googleマップの情報を最新に保つことや、スマホで写真を撮ってSNSに投稿することは無料でできます。

まずは身近なツールの活用から始め、手応えを感じてから専門家への依頼を検討するのもよいでしょう。

まとめ:インバウンド対策は「点」ではなく「面」の連携で成功させる

2026年のインバウンド対策は、単なるツールの導入だけで終わらせてはいけません。

市場の動向を捉え、適切なターゲットに向けた質の高い情報を届けることが重要です。

そして何より、データ分析や専門家の知見を活用し、他者と「共創」する姿勢が成功を引き寄せます。

個々の取り組みを「点」で終わらせず、地域やパートナーとつながる「面」の対策へ。

今すぐできることから一歩を踏み出し、世界中の人々に選ばれる魅力的な空間を作り上げていきましょう。

著者情報

私たちは、企業会員74社・自治体会員51団体(2025年11月時点)が参画する、地域創生とインバウンド振興のためのプラットフォームを運営する、一般社団法人地域創生インバウンド協議会の事務局です。

定期的な研究会や交流会などの運営を通じて、官民の枠を超えた「知見の共有」と「ビジネス共創」の場を提供しています。本コラムでは、地域創生・インバウンドに関する情報を中心に、地域の未来を創るための有益な情報を発信していきます。

協議会について詳しく見る