2026.04.01
インバウンド向け広告の始め方!費用や媒体・成功のポイントを解説
訪日外国人が増加する中、「自社でもインバウンド集客を強化したい」と考える方は多いのではないでしょうか。
しかし、いざ始めようとすると、以下のような悩みが生まれがちです。
・どの広告媒体を選べばいいかわからない
・限られた予算で失敗したくない
・外国語対応などの受け入れ体制に不安がある
結論からいうと、広告を成功させるには「ターゲットと旅のフェーズに合わせた媒体選び」と「事前の受け入れ体制の構築」が重要になります。
なぜなら、文化が異なる旅行者へ適切なタイミングで情報を届け、ストレスのない環境を整えることが集客に直結するからです。
本記事を参考に、自社に最適な施策を見つけてください。
■この記事でわかること
- 地方創生2.0と1.0の5つの違い
- 国が推進する政策の5本柱
- 企業や自治体がビジネスや政策にいかすポイント
この記事の要約はこちらをクリックしてください
インバウンド需要を獲得するための広告運用を成功させるには、ターゲット国と旅行のフェーズ(旅マエ・旅ナカ)に合わせた適切な媒体選びと、事前の受け入れ体制の構築が不可欠です。外国人旅行者が日常的に使うプラットフォームは国ごとに異なるため、Googleマップや各国に適した媒体を使い分ける必要があります。また、広告費を無駄にしないためにも、集客前に多言語対応やキャッシュレス決済の導入を行うことが重要です。まずは少額からテスト運用を始め、データをもとに改善を繰り返すことで、限られた予算でもインバウンド集客を最大化し、着実な売上アップや地域活性化に繋げることができます。
目次
インバウンド向け広告とは?今注目される理由
国内向け広告との違い
インバウンド向け広告と国内向け広告の最大の違いは、ターゲットが日常的に利用する「プラットフォーム」がまったく異なる点です。
日本国内ではGoogle検索やLINE、X(旧Twitter)などが主流ですが、海外では事情が異なります。
たとえば中国ではWeChatや小紅書(RED)、韓国ではNAVERといった独自のアプリが生活インフラとして使われています。
単純に日本語の広告を外国語に翻訳するだけでなく、各国のデジタル環境や文化的な背景、独自の商習慣に合わせた媒体選びとアプローチが求められます。
なぜ今、インバウンド集客に広告が必要なのか
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年の年間訪日外客数は4,268万人を超え、過去最高を記録しました。
出典:日本政府観光局(JNTO)訪日外客数(2025年12月推計値)
https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html
かつての「回復期」はすでに終わりを告げ、現在は全国の観光地や店舗がインバウンド需要を奪い合う「競争激化期」に突入しています。
そのため、旅行者が日本に来てから偶然店舗に立ち寄るのを待つだけの受け身の姿勢では、競合他社に埋もれてしまいます。
広告を使って自社の強みや地域ならではの魅力を積極的に発信し、旅程の候補に入れてもらう工夫が不可欠です。
インバウンド向け広告で失敗しないための基本設計
ターゲット国・客層を先に決める
広告の出稿を検討する前に、「どの国の、どのような人」に来てほしいのかを明確に設定してください。
単に「外国人観光客」とひとくくりにするのではなく、「台湾から来る20代の女性グループ」や「欧米豪の富裕層ファミリー」のように詳細なペルソナを具体化します。
ターゲットの解像度が高まることで、出稿すべきSNS媒体や、心に刺さるキャッチコピーがおのずと明確になります。
旅マエ・旅ナカで広告の役割を分ける
外国人の旅行プロセスは、出発前の「旅マエ」と滞在中の「旅ナカ」に大別されます。
フェーズごとに旅行者が求める情報の性質が異なるため、広告の役割も明確に分けましょう。
- 旅マエ:SNS広告等で認知を広げての予約獲得
- 旅ナカ:位置情報広告等での現在地周辺の店舗誘導
このように、消費者の心理状況に応じたアプローチを使い分けることが、限られた予算で最大限の成果を上げる成功の鍵です。
広告を無駄にしない!事前に整えるべき「受け入れ体制」
多言語対応(メニュー、案内板、Webサイト)の徹底
せっかく高額な広告費をかけて店舗やWebサイトへ集客しても、言葉が通じなければ直前で離脱されてしまいます。
また、来店後のトラブルは悪評(低評価の口コミ)につながる恐れがあるため、以下の多言語対応を優先して進めてください。
- Webサイトの多言語対応(英語・繁体字など)
- 店内メニューや施設案内板の英語表記化
- スマートフォンを利用した翻訳ツールの導入
完璧な外国語を話せるスタッフを無理に採用しなくても、ITツールや事前表記の工夫で十分にあたたかいおもてなしは可能です。
多様なキャッシュレス決済・Wi-Fi環境の導入
インバウンド旅行者にとって、母国で使い慣れた決済方法が使えるかどうかは、お店選びの非常に重要な基準になります。
国際ブランドのクレジットカード(Visa、Mastercardなど)に対応するのはもちろん、アジア圏からの集客を狙うならAlipayやWeChat Payなどの導入も検討しましょう。
また、旅行中に現地のルートや情報を調べるための無料Wi-Fiを提供することも、顧客満足度の向上に直結します。
インバウンド向け広告の主な種類とおすすめ媒体
Google広告・Googleマップ広告
Googleは世界中で圧倒的なシェアをもつ検索エンジンです。
旅行先の観光情報を検索する際に表示される「検索連動型広告」や、店舗や観光内を地図で探す際に表示される「Googleマップ広告」は非常に高い効果を発揮します。
欧米豪や東南アジアをはじめ、幅広い国籍の個人旅行者(FIT)に直接アプローチできる、費用対効果の高い王道の手法といえます。
また、Googleマップ広告を行う場合は、Googleビジネスプロフィールを作成して事業情報を整備しておくことが必要となります。
SNS等の広告
ターゲット国ごとに利用率の高いSNSなどのデジタル媒体を見極めて、画像や動画の広告を配信します。
SNSだけではありませんが代表的なデジタル媒体と強い国・地域は以下のとおりです。
- Facebook・Instagram:台湾・香港・東南アジア
- WeChat・小紅書(RED):中国本土
- NAVER・KakaoTalk:韓国
視覚的に現地の空気感や商品の魅力を伝えられるため、飲食店や宿泊施設、観光スポットのPRと非常に相性が良いです。
訪日外国人向けメディア・インフルエンサー施策
日本旅行に関心の高い顕在層が集まるWebメディアへの記事広告も有効な選択肢です。
また、現地のインフルエンサーを起用したPR施策は、フォロワーからの信頼が厚く、強い影響力を発揮します。
インフルエンサー本人の実際の体験を通じたリアルな口コミは、旅マエの宿泊予約や購買行動を強力に後押しします。
2つの注意点
・景品表示法(ステマ規制について)
2023年10月1日より、景品表示法に基づく「ステルスマーケティング(ステマ)規制」が施行されています。企業や自治体が金銭や便益を提供して投稿を依頼したにもかかわらず、それが広告であることを隠す行為はステマ規制法の対象となります。
必ず「#PR」「#プロモーション」「タイアップ投稿」など、ユーザーに広告であることが明確に伝わる表記を行う必要があります。
・著作権法・肖像権
SNS広告やGoogleマップに掲載する画像・動画において、来店客の顔が許可なく写り込んでいるものや、他社の著作物を無断で使用することは権利侵害となります。クリエイティブ制作時には十分な確認が必要です。
費用相場と少額から始める方法
広告費の相場と予算の目安と考え方
インバウンド向け広告の費用は、選定する媒体や手法によって大きく変動します。
目安となる一般的な目安をまとめました。
| 広告・施策の種類 | 費用の目安(月額・1回あたり) |
|---|---|
| Google広告・SNS広告 | 5万円〜30万円程度(運用型) |
| 訪日メディアの記事広告 | 30万円〜100万円程度 |
| インフルエンサー起用 | 50万円〜数百万円(フォロワー数に依存) |
いきなり高額なプランに申し込むのではなく、まずは自社の予算規模に合わせ、無理のない範囲でテスト計画を立てることが大切です。
少額でテスト運用する際のポイント
予算が限られている場合は、1日の予算を数百円から設定できるGoogle検索広告や、少額で始められるFacebook・Instagram広告から始めるのがおすすめです。
最初は月額5万円程度の少額でテスト配信を行い、どの国からのクリック率が高いか、どのクリエイティブ(画像・動画)が好まれるかのデータを集めましょう。
反応が良かったターゲット層に対して予算を集中投下させることで、広告費用の無駄をなくし、利益率を高めることができます。
成功パターンに共通するポイント
飲食店・小売店の成功のポイント
WebサイトやGoogleビジネスプロフィール(Googleマップ)の店舗情報を英語と繁体字で詳細に整備しました。
「和牛の炙り寿司」や「日本酒飲み比べ」など、外国人に人気の高いメニューをシズル感のある動画付きでSNS広告として配信することで、旅ナカの外国人客の来店を増加させる効果が期待できます。
自社の強みを、外国人が喜ぶ文脈に変換してわかりやすく伝えたことが、売上アップの最大の要因となります。
宿泊施設・観光施設・自治体の成功のポイント
旅行系インフルエンサーを現地へ招待し、施設だけでなく周辺の自然環境や郷土料理の魅力をセットで発信してもらうことも効果的です。
インフルエンサーの熱量の高い投稿を見た個人旅行客からの直接予約が増加させて、課題である閑散期の稼働率アップに繋げることも期待できます。
単独の施設をアピールするのではなく、地域全体の魅力と掛け合わせてPRすることで、「わざわざその土地へ行く理由」を作り出す例といえます。
自社運用と代理店依頼はどちらがよい?
自社運用が向いているケース
広告費の予算が月額10万円未満で、まずは社内に広告運用やインバウンド対応のノウハウを蓄積したい場合は、自社運用が適しています。
Googleマップの基本情報の更新や、Instagramの多言語アカウントの立ち上げなどは、社内の限られたリソースでも十分にスタート可能です。
翻訳ツールを活用しながら、小さく始めてコツコツと改善を繰り返していく地道な姿勢が求められます。
代理店依頼が向いているケース
月額30万円以上の広告予算が確保でき、プロの知見を借りて最短で確実な成果を出したい場合は、インバウンド専門の広告代理店に依頼すべきです。
特に、中国向けのWeChatや小紅書(RED)などはアカウント開設の審査基準が厳しく、現地の法人格が必要になるケースも多々あります。
言語の壁や複雑な運用設定をプロに任せることで、社内の担当者は現場の受け入れ体制の強化など、より重要なコア業務に集中できるメリットがあります。
よくあるご質問
インバウンド向け広告は少額でも始められますか?
はい、十分に始められます。
Google検索広告や主要なSNS広告(Instagram、Facebookなど)であれば、1日数百円から予算の上限を設定して配信することが可能です。
まずは月額数万円の少額からテスト運用をスタートし、反応を見ながら段階的に予算を拡張していく運用方法が安全です。
まずは何から始めるのがよいですか?
ターゲットとなる国籍がまだ明確に定まっていない場合は、世界中で利用されているGoogleビジネスプロフィール(Googleマップ)の整備から始めるのが王道です。
店舗の基本情報やメニューの写真を英語で充実させるだけでも、旅ナカで周辺情報を検索している外国人旅行者の目に留まりやすくなります。
英語だけ対応すれば十分ですか?
英語対応は必須の第一歩ですが、それだけで十分とはいえません。
日本を訪れる旅行者の多くは、韓国、台湾、中国、香港などのアジア圏から来ています。
そのため、可能であれば英語と合わせて、繁体字や韓国語などの表記も用意することをおすすめします。
まずは無料の翻訳アプリやWebサービスをうまく活用して、主要言語の簡単な案内状を作成してみましょう。
まとめ
インバウンド市場が過去最高の盛り上がりを見せる中、外国人旅行者を自社に呼び込むための「インバウンド向け広告」は必要不可欠な成長戦略です。
まずはターゲット国と旅行フェーズを明確にし、多言語対応などの現場の受け入れ体制を整えたうえで、少額から広告運用をスタートしてみてください。
私たち「一般社団法人地域創生インバウンド協議会」は、2026年3月時点で企業会員75社・自治体会員52団体が参画する協議会を運営しており、定期的な研究会や交流会の運営を通じて、官民の枠を超えた成功事例の共有や、新たなビジネス共創の場を提供しています。
「何から始めればいいかわからない」「他の地域の具体的な成功事例を知りたい」という担当者の方は、ぜひ当協議会へお気軽にご相談ください。
会員同士の強固なネットワークで知見を共有し、共にインバウンド集客を成功へと導きましょう。
