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地域創生インバウンド協議会

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2026.02.25

【地域創生と地方創生の違い】意味と定義、ビジネスでの正しい使い分けと活用法を徹底解説

地元への貢献を考え始めたとき、次のような疑問を持つことはありませんか。

  • 「地域創生」と「地方創生」はどちらを使うのが適切なのか
  • 国の補助金を申請する場合、使い分けの基準はあるのか
  • 地元企業と協業する際、どの言葉を選べば意図が正確に伝わるか

本記事では、2つの言葉の主な違いを「推進する主体」と「視点」という観点から整理します。
一般的に、「地方創生」は国や自治体の政策文脈で用いられることが多く、人口減少対策や東京一極集中の是正などを目的としたマクロな取り組みとして語られます。一方で「地域創生」は、民間企業や住民などが主体となり、地域の特性を活かして価値を生み出す現場起点の取り組みとして使われるケースが多い言葉です。

これらを状況に応じて使い分けることで、社内外との認識合わせがしやすくなり、提案やコミュニケーションも円滑に進めやすくなります。

以下では、実務に役立つ定義や具体的な活用法を詳しく解説します。

■この記事でわかること

  • 2つの言葉の定義と違い(実務での整理)
  • 企画書やPRでの具体的な使い分け基準
  • 企業が参入する際に押さえたいポイント

本記事は、地域創生・地方創生とインバウンドに関心を持つ企業・団体・自治体が集い、実務目線で学び合う当協議会の活動とも親和性が高いテーマであり、みなさまのお役に立てるよう情報を整理してまいります。

この記事の要約はこちらをクリックしてください

「地方創生」と「地域創生」の主な違いは、推進する「主体」と「視点」にあります。
地方創生は2014年以降、国が政策として推進してきた文脈で語られることが多く、人口減少の抑制や東京一極集中の是正などを目的としています。一方、地域創生は民間企業や住民など現場側の主体が中心となり、独自のコミュニティ形成や事業づくりを通じて地域の価値向上を目指す取り組みとして用いられることが多い言葉です。

実務では、国の補助金申請や行政への提案など制度・政策との整合が重要な場面では「地方創生」、民間ビジネスの展開や広報PRなど共感形成や独自性を伝えたい場面では「地域創生」を用いると、意図が伝わりやすくなります。ターゲットや目的に合わせて言葉を選ぶことが、プロジェクトの信頼性や成功可能性を高める要素となります。

「地域創生」と「地方創生」の違いとは?結論と使い分け

ビジネスの現場において、似た言葉を正確に使い分けることは重要です。
「地域創生」と「地方創生」は、いずれも地域の活性化を目指す点では共通しますが、用いられる文脈やニュアンスに違いがあります。

結論:推進する「主体」と「視点」の違い

本記事では、2つの言葉の違いを「誰が主導しているか(主体)」「どの視点で捉えるか(視点)」という観点で整理します。

一般的に、国や行政が日本全体・広域の課題に対して進める政策文脈で語られるのが「地方創生」です。
一方、地域の現場に近い立場(住民・事業者・民間企業など)が、特定のエリアの魅力や課題に即して取り組む文脈で用いられるのが「地域創生」です。

「地方創生」と「地域創生」の違い

それぞれの特徴を整理すると、以下のようになります。

地方創生

  • 国や自治体が政策・制度として推進する文脈で用いられやすい
  • 人口減少や一極集中など、広域課題への対応がテーマになりやすい

地域創生

  • 行政区画に限定されないエリア価値づくりの文脈で用いられやすい
  • 民間企業や住民のアイデアを活かす現場起点の取り組みになりやすい

同じように地域を元気にする取り組みでも、重点の置き方が異なるため、自社プロジェクトがどちらの文脈に近いかを把握しておくことが大切です。

【早見表】企画書・プレスリリースなど実務での使い分けガイド

日々の業務において、どちらの言葉を使うべきか迷ったときの目安として、早見表をまとめました。
対象となる読者や提出先に合わせて、適切な言葉を選びましょう。

当協議会でも、自治体・企業それぞれの立場や提出先に応じて言葉の選び方を意識しています。

活用シーン推奨する言葉選択の理由とポイント
国の補助金申請地方創生政策のガイドラインに用語を適合させるため
自治体への提案地方創生行政計画との連動性をアピールできるため
クラウドファンディング地域創生地元住民からの共感や応援を得やすいため
新規事業の広報PR地域創生民間企業ならではの独自の価値を伝えるため
インバウンド集客地域創生特定の文化や生活圏の魅力を発信するため

公的な資金や枠組みを利用する場合は、政策上の用語との整合を重視して「地方創生」を用いるとスムーズです。
一方、消費者や地元住民などに直接アプローチする場合は、「地域創生」のような言葉を用いることで意図が伝わりやすくなるケースがあります。

地方創生とは?国が主導するマクロな政策

ここからは、それぞれの言葉の意味をもう少し掘り下げて解説します。
まずは、ニュースや新聞でも目にする国の政策文脈で語られる「地方創生」から見ていきましょう。

2014年以降に国が推進する重要政策

地方創生は、2014年以降、国が政策として推進してきた取り組みの総称として用いられることが多い言葉です。
各地域がそれぞれの特性を活かしながら、自律的で持続可能な社会を築くことを目指しています。

内閣府には推進に関わる体制が整備され、自治体も「総合戦略」などの計画を策定し、これに沿った事業に対して交付金等の支援が行われています。企業側も、各制度や地域課題を踏まえながら「どのように貢献できるか」を検討し、連携を進める動きが広がっています。

目的は「人口減少の抑制」と「東京一極集中の是正」

地方創生が扱う主要テーマとして、「人口減少の抑制」や「東京一極集中の是正」が挙げられます。
日本の総人口は減少傾向にあり、とくに地方から都市部への若者流出は各地で課題とされています。

内閣官房が公表した資料では、次のような状況が示されています。

  • 日本の人口は過去10年間で約340万人減少
  • 生産年齢人口は10年間で約410万人減少
  • 若者や女性の都市圏への転入超過が継続
  • 地方部における労働力不足の発生

引用元:内閣官房「地方創生 2.0 基本構想」令和7年/2025年6月13日 閣議決定
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_chihousousei/pdf/20250613_honbun.pdf

こうした背景のもと、政策的な後押しが重視されてきました。なお、地方創生は政策文脈で用いられることが多い一方で、民間が主体となって取り組む事例も各地で見られます。ビジネスとして参入する際は、地域の実情と政策目的の双方を踏まえ、「どの課題にどう貢献するか」を整理することが重要です。

鍵となる「まち・ひと・しごと」の創出

地方創生の文脈でよく示されるキーワードが「まち・ひと・しごと」です。
これら3つは相互に関連しており、地域の持続性を考えるうえで一体として捉えることが大切です。

  • まち:安心して暮らせる拠点の形成
  • ひと:地域に新しい人の流れをつくること
  • しごと:地域に安定した雇用を生むこと

雇用が生まれることで人が集まり、人の流れが地域の活力につながる――こうした循環をどう設計するかが、企業連携においても重要な視点となります。

自治体・住民・企業が一体となった取り組みの重要性

国や自治体が主導的役割を担う場合でも、行政だけで解決できる課題には限りがあります。
そのため、自治体・住民・企業が役割分担しながら連携し、実行力を高めていくことが重要です。

企業の専門性やスピード感は、自治体の課題解決において評価される場面も多くあります。たとえば、IT企業が自治体と連携し、デジタル技術を用いた業務効率化を支援する事例も見られます。
相互の強みを持ち寄り、対等な関係で協力体制を築くことが、持続可能な取り組みにつながります。

地域創生とは?民間や住民が主導するミクロな取り組み

次に、「地域創生」について解説します。
地域創生は、政策用語としての枠組みに限定されず、地域の現場から価値を生み出す取り組みを語る際に用いられることが多い言葉です。民間企業が独自のビジネスモデルを展開する場面でも、親和性が高い概念といえます。

行政区画にとらわれない独自のコミュニティ活性化

地域創生は、市町村など明確な行政区画に限定されない形で語られることがあります。
歴史的なつながりや文化圏、自然環境などを共有するエリアを、柔軟な枠組みで捉えるケースも少なくありません。

たとえば「山麓エリア」や「街道沿い」など、複数自治体にまたがる生活圏を対象とすることもあります。地域ならではの魅力を見つけ、価値を高めることが取り組みの軸になります。

制度要件に合わせる必要がない分、自由な発想でプロジェクトを組み立てやすい一方で、地域の合意形成や継続性の設計が重要になります。

民間企業や地元住民が主体となるビジネスモデルの構築

地域創生の特徴として、民間企業や地元住民が主体となり、比較的機動的に事業を展開できる点が挙げられます。
補助金だけに頼らず、クラウドファンディングや民間投資などを活用しながら、持続可能なビジネスモデルを構築していく方法もあります。

具体的には、次のようなプロジェクトが各地で進められています。

  • 空き家を改修した宿泊施設の運営
  • 規格外の地元産品を活用したブランド化
  • 廃校を活用したサテライトオフィスの運営
  • 住民による体験型観光の提供

こうした取り組みは、地元側の主体性や意志に支えられているケースが多いのが特徴です。外部企業が参入する場合は、地域側の主体性を尊重し、役割分担や関係性づくりを丁寧に進めることが重要です。

また、地域創生は民間主導の文脈で用いられるケースが多い一方、自治体が主導して推進する取り組みとして語られる場面もあります。

インバウンド需要を活用した地域創生のアプローチ

近年、インバウンド(訪日外国人観光客)の需要を活用した地域づくりも注目されています。
海外からの旅行者は、有名観光地だけでなく、地域の生活文化や自然環境、ストーリー性のある体験を求める傾向も見られます。

こうした流れは、地域にとって新たな可能性が広がる機会になり得ます。外国人の視点を取り入れることで、地元の人にとっては当たり前の風景や文化が観光資源として再評価されることもあります。

多言語対応やキャッシュレス決済の導入など、企業が支援できる領域は幅広く、地域経済の循環拡大につながる可能性があります。

企業が「地方」と「地域」を使い分けるべき3つの理由

ここまで2つの言葉の違いを見てきました。ではなぜ、あえて言葉を意識して使い分けることが実務で有効なのでしょうか。代表的な理由を3つ整理します。

理由1. 補助金や助成金の審査(文脈への適合)を有利に進めるため

資金調達に関わる場面では、公募要領や政策目的との整合が重要になります。国の交付金や自治体の補助金に応募する際、審査では「政策目的を理解しているか」「計画や制度に適合しているか」が見られるため、用語選びも含めて文脈を揃えることが有効です。

制度申請の場面で民間主導のニュアンスが強い言葉ばかりを使うと、意図が伝わりにくくなる可能性があります。

提案先が求める言葉やストーリーに合わせて、提案書のトーンを調整しましょう。

理由2. 地元企業や住民と対等で円滑なパートナーシップを築くため

言葉のニュアンスは、現場の関係構築にも影響します。中央視点を含む政策名を多用すると、状況によっては外部主導と受け取られる可能性があります。地元側の誇りや主体性を尊重する姿勢を示すうえでも、文脈に合った言葉選びは有効です。

「共にこの場所の未来をつくる」という姿勢が伝わる表現を選ぶことで、協力関係を築きやすくなることがあります。

理由3. 社内決裁やPR活動において事業の意図を正確に伝えるため

社内の企画承認や外部への広報活動でも、言葉の選び方で伝わり方が変わります。
たとえば同じ取り組みでも、次のように訴求軸を変えることで理解が得られやすくなります。

  • 経営陣への説明:政策動向や妥当性を重視して説明する
  • メディアへのPR:独自性や社会的意義を打ち出す
  • 採用活動での発信:現場でのやりがいやストーリーを示す

ターゲットに合わせて表現を調整することで、事業の意図がより正確に伝わり、信頼形成にもつながります。

【ケース別】企業が参入する地方創生・地域創生ビジネスの成功ポイント

実際のビジネスシーンでは、企業はどのようにこれらの概念を事業へ落とし込んでいるのでしょうか。ここでは方向性の異なる2つのケースに分け、ポイントを整理します。

国の交付金や自治体の枠組みを活用した「地方創生」アプローチ

このケースでは、自治体の課題解決に直接貢献する、比較的規模の大きい事業が中心となりやすい傾向があります。
成功のポイントは、自治体が策定している「総合戦略」等を読み込み、目標やKPIにどう貢献するかを提案で明確にすることです。

たとえば、行政予算を活用し、過疎地域での移動手段を支援する実証実験を行うような事例もあります。初期投資の負担を公的資金で軽減できる一方、補助期間終了後も継続できる仕組みを初期段階から設計しておくことが重要です。

自社の強みと民間資金を活用した「地域創生」アプローチ

こちらは、行政枠組みに依存せず、企業の独自技術やアイデアを軸に進めるケースです。
成功のポイントは、現場のニーズを丁寧に把握し、小さな課題から解決して実績を積み上げることです。

小さく始めて検証し、徐々に規模を拡大する手法が適しています。

クラウドファンディングを活用し、共感を広げながら支援者を増やす取り組みも見られます。継続的にストーリーを発信し、関係人口やファンづくりにつなげることが、民間主導ビジネスの重要な要素となります。

よくあるご質問

最後に、言葉の定義や実務での活用について、読者から寄せられることの多い疑問に回答します。資料作成に行き詰まった際や、社内で議論になったときの参考にしてください。

「地域活性化」という言葉は、地方創生や地域創生とどう違いますか?

「地域活性化」は、古くから使われている一般的な表現で、経済活動だけでなく、お祭りの復活や清掃活動など、生活を豊かにする活動全般を広く指します。
一方「創生」は、新しい価値や事業を生み出すニュアンスを含む場合があり、プロジェクトの目的に応じて使い分けると意図が伝わりやすくなります。

ビジネスの企画書で「地方」と「地域」のどちらを使うべきか迷った場合の判断基準はありますか?

資金の出所と、最終的な決裁者(提出先)が誰かを基準に判断すると整理しやすいです。国の補助金申請や自治体の公募であれば、公的文脈に合わせるのが基本です。
一方、自社の新規事業として投資家から資金を集める場合や、一般消費者向けにPRを行う場合は、独自性が伝わりやすい言葉を選ぶと企画意図を説明しやすくなります。

地方創生に関連する国の補助金にはどのようなものがありますか?

代表的な例として、内閣府が所管する「地方創生推進交付金」などがあります。自治体が主体となって行う事業に対して交付される制度で、企業が自治体と連携して事業を行う際に、事業費として支払われる形で活用されるケースもあります。
募集状況や条件は変わるため、最新情報は内閣府の公式サイトや各自治体の案内で確認してください。

まとめ:違いを理解して事業を加速させましょう

本記事では、「地域創生」と「地方創生」の違いについて、意味や定義、実務での活用法を解説してきました。最後にポイントを整理します。

  • 地方創生:国や自治体の政策文脈で用いられることが多く、人口減少対策や東京一極集中の是正など広域課題への対応がテーマになりやすい
  • 地域創生:民間企業や住民など現場主体の文脈で用いられることが多く、地域の特性を活かした価値づくりがテーマになりやすい
  • 使い分け:補助金申請や行政提案は「地方創生」、民間ビジネスやPRは「地域創生」を選ぶと意図が伝わりやすい

言葉の定義と背景を理解し、目的やターゲットに応じて表現を選ぶことは、プロジェクトの信頼性を高めるうえで有効です。

自社の事業目的に合わせて最適な言葉を選び、説得力のある提案につなげていきましょう。

著者情報

私たちは、企業会員74社・自治体会員51団体(2025年11月時点)が参画する、地域創生とインバウンド振興のためのプラットフォームを運営する、一般社団法人地域創生インバウンド協議会の事務局です。

定期的な研究会や交流会などの運営を通じて、官民の枠を超えた「知見の共有」と「ビジネス共創」の場を提供しています。本コラムでは、地域創生・インバウンドに関する情報を中心に、地域の未来を創るための有益な情報を発信していきます。

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