2026.08.18
【2026年上半期】訪日外国人数データと最新インバウンド市場動向まとめ
2026年上半期の訪日外国人数(JNTOの「訪日外客数」)は推計2,108万4,800人でした。前年同期比では2.0%減ですが、2年連続で2,000万人を超える高水準で推移しています。韓国・台湾・米国などの主要市場にくわえ、東南アジアや欧州が、中国市場の落ち込みを補いました。
本記事では、日本政府観光局(JNTO)と観光庁の最新データをもとに、市場の現在地と下半期に向けたインバウンド戦略を解説します。客数だけでなく、国・地域別の伸びや旅行消費額も確認し、施策の優先順位を決める際にお役立てください。
■この記事でわかること
- 2026年上半期の訪日外国人数と前年同期比、月別推移
- 韓国・台湾・米国・中国など、主要国・地域別の動向と背景
- 旅行消費額や「コト消費」、地方分散をめぐる変化
- 企業や自治体が下半期に向けて取るべき具体策
この記事の要約はこちらをクリックしてください
2026年上半期の訪日外国人数は2,108万4,800人で、前年同期比2.0%減でした。過去最高だった2025年上半期には及ばないものの、2年連続で2,000万人を超えています。韓国は567万5,100人、台湾は397万2,200人、米国は182万1,700人と前年同期を上回る一方、中国は205万8,200人で56.4%減となりました。また、2026年4〜6月期の訪日外国人旅行消費額は2兆5,096億円、1人当たり旅行支出は24.4万円です。下半期は客数の多さだけでなく、消費単価、滞在日数、地方への送客、受け入れ負荷を組み合わせて市場を選ぶことが重要です。
2026年上半期の訪日外国人数:マクロトレンドと市場の現在地
上半期累計は2,108万人超え!力強い成長を続けるインバウンド市場

日本政府観光局(JNTO)が発表した2026年6月推計値によると、2026年上半期(1〜6月)の訪日外客数は2,108万4,800人でした。前年同期の2,151万8,575人から2.0%減少し、過去最高だった2025年上半期には届きませんでしたが、2年連続で上半期累計2,000万人を超えており、インバウンド需要は引き続き高い水準にあります。
市場別では、韓国が前年同期から約89万人、台湾が約69万人、米国が約12万人増えました。一方、中国は約266万人減少しています。複数市場の増加によって、中国の落ち込みが一部相殺され、全体の減少幅は2.0%にとどまりました。2026年上半期は、市場全体が一様に成長したというより、国・地域ごとの差が鮮明になった局面といえます。
月別の推移と単月・上半期で過去最高を記録した背景
月別では、2月が346万6,700人で2月として過去最高、3月が361万8,900人で3月として過去最高を記録しました。4月は369万2,200人で2026年の単月最多でしたが、前年同月比では5.5%減で、5月は3.6%減、6月は6.8%減となりました。
出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年6月推計値)」
https://www.jnto.go.jp/news/press/20260715_monthly.html
2月は春節の時期が前年の1月下旬から2月中旬へ移ったこと、3月と4月は桜シーズンに加えてイースター休暇の需要が両月に分散したことが主な押し上げ要因です。一方、5月と6月は多くの市場で訪日需要が落ち着く時期に当たり、一部路線の減便や6月の台風による欠航も影響しました。月次データは季節要因や暦、航空供給とあわせて読む必要があります。
為替(円安)や国際航空路線の回復が与える影響
JNTOは、多くの市場で円安傾向が続いているとしています。為替は、訪日旅行の費用や現地での支出判断に影響する要素の一つです。ただし、訪日客数は休暇時期、航空座席数、災害・気象、他国との競合などにも左右されるため、円安だけではなく複合的な要因が成長要因として考えられます。
国際線の航空供給も市場ごとの動きに影響しました。JNTOによると、6月の韓国と台湾では前年同月より航空座席数が増加しました。インドではデリー・ムンバイ発着路線の新規就航や増便、ベトナムではハノイ〜静岡線の新規就航、中東では一部路線の再開・増便が需要を支えています。地方空港を含む路線情報は、誘客施策の対象地域を決める重要な材料です。
【国・地域別】データで読み解く2026年上半期の訪日外客数動向
市場を牽引するトップランナー:韓国・台湾・米国の動向
2026年上半期の訪日外客数は、韓国、台湾、中国、米国の順でした。このうち本節で扱う韓国・台湾・米国はいずれも前年同期を上回り、3市場の合計で全体の54.4%を占めます。市場規模に加えて、伸び率や旅行消費額、移動ルートを比較することが重要です。
| 国・地域 | 2026年上半期 訪日外客数 | 前年同期比 | 主な動向・特徴 |
|---|---|---|---|
| 韓国 | 5,675,100人 | +18.6% | 構成比26.9%。6月は同月過去最高 |
| 台湾 | 3,972,200人 | +20.9% | 構成比18.8%。6月は同月過去最高 |
| 米国 | 1,821,700人 | +7.1% | 構成比8.6%。6月は同月過去最高 |
出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年6月推計値)」
https://www.jnto.go.jp/news/press/20260715_monthly.html
韓国・台湾:直行便増便やチャーター便による地方誘客の好調
韓国は上半期累計567万5,100人で、前年同期比18.6%増でした。全体の26.9%を占め、最大市場となっています。6月も78万7,100人で同月として過去最高を記録し、JNTOは継続する訪日旅行人気と航空座席数の増加を要因に挙げています。
釜山〜静岡間の新規就航や仁川〜成田間の増便など、空路の拡充も功を奏しました。
台湾は上半期累計397万2,200人で、前年同期比20.9%増でした。全体の18.8%を占めています。6月は67万400人で同月として過去最高となり、端午節の時期が前年の5月末から6月中旬へ移ったことや、航空座席数の増加が需要を押し上げました。
台中〜熊本間の新規就航や台北桃園〜青森間の増便など、日本の地方都市へ直接乗り入れるルートが増えたことで、リピーター層が積極的に地方へ足を延ばしています。
米国:スクールホリデーと力強い消費意欲による過去最高の更新
米国は上半期累計182万1,700人で、前年同期比7.1%増でした。6月は35万4,500人で同月として過去最高を記録し、多くの地域で始まったスクールホリデーが需要を支えました。スクールホリデーに合わせた家族連れや若年層の訪問が大幅に増えています。
観光庁の2026年4〜6月期調査では、米国の旅行消費額は3,848億円で国・地域別1位です。米ドル高を背景とする高い購買力を生かし、宿泊や飲食など、客数だけでなく消費面でも重要度の高い市場といえます。
変動が目立つ市場とその背景:中国市場の減少要因
一方、2025年上半期に大きな構成比を占めた中国市場は、2026年に入って大幅に減少しました。訪日外客数では上半期3位を維持しているものの、前年同期との落差は他市場より大きくなっています。
渡航注意喚起や航空便減便による影響と今後の見通し
2026年上半期の中国からの訪日外客数は205万8,200人で、前年同期比56.4%減でした。6月も34万700人で57.3%減です。JNTOは、中国政府による日本への渡航回避の注意喚起や航空便の減便などを減少要因として挙げています。
しかし、韓国・台湾・米国に加え、東南アジアや一部の欧州・中東市場が伸びたことで、訪日外客数全体の減少幅は2.0%に抑えられました。ただし、中国は上半期の訪日外客数で9.8%を占め、2026年4〜6月期の旅行消費額でも3位です。市場分散を進めながら、中国市場の回復可能性も継続的に注視する必要があります。
急成長を遂げる注目のポテンシャル市場:東南アジア・欧州・中東
主要市場以外では、東南アジアや長距離市場の一部が高い伸びを示しました。ただし、国ごとに休暇時期、航空路線、旅行目的が異なるため、「新興市場」と一括りにせず、個別データを確認する必要があります。
ベトナム・インド・中東地域など新興市場の台頭と特徴
ベトナムは上半期累計39万6,500人で、前年同期比8.7%増でした。6月は5万6,500人で6月として過去最高です。航空便の減便などの下押し要因があった一方、スクールホリデーと2026年4月に就航したハノイ〜静岡線が需要を支えました。インセンティブツアー(報奨旅行)の催行も好調要因です。
インドは上半期累計21万300人で、前年同期比22.9%増でした。6月はデリー・ムンバイ発着路線の新規就航・増便やスクールホリデーの影響により、同月として過去最高を記録しています。中東地域も上半期累計12万8,200人で10.7%増となり、6月は一部路線の再開・増便などを背景に前年同月比29.7%増でした。
2026年のインバウンド消費傾向と訪日外国人のニーズ変化
「モノ消費」から「コト消費」の重要性の向上とリピーター層の増加
観光庁の2026年4〜6月期調査では、旅行消費額の構成比は宿泊費37.0%、買物代26.8%、飲食費21.7%の順でした。前年同期と比べると、飲食費、娯楽等サービス費、買物代はいずれも構成比が上昇しており、物販(モノ)と体験(コト)を組み合わせた消費が重要になっています。
- 地域の食材や酒蔵を生かした食文化体験
- 伝統工芸や文化を学べる少人数のワークショップ
- 自然環境を生かしたガイド付きアクティビティ
- 地域の祭りや季節行事に参加できる限定プログラム
同調査によると、2026年4〜6月期の1人当たり旅行支出は24.4万円で、前年同期比3.3%増でした。商品造成では、体験の希少性だけでなく、予約のしやすさ、多言語説明、安全性、地域への還元を明確にし、価格に見合う価値を伝えることが重要です。
出典:観光庁「インバウンド消費動向調査2026年4〜6月期(1次速報)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00094.html
ゴールデンルートから地方へ:体験型観光と地方誘客の拡大
東京・富士山・京都・大阪を結ぶゴールデンルート以外への誘客は、政府の観光政策でも重点課題です。
令和8年版観光白書によると、2025年の外国人延べ宿泊者数は1億7,787万人泊で過去最高となりましたが、三大都市圏を除く地方部の割合は約3割です。地方誘客を伸ばすには、地方空港や鉄道から観光地までの二次交通、予約導線、多言語案内を一体で整える必要があります。
出典:観光庁「令和8年版観光白書(概要版)」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002011051.pdf
持続可能な観光(サステナブルツーリズム)への関心の高まり
2026年3月に決定された第5次観光立国推進基本計画は、「観光の持続的な発展」と、インバウンド誘客と住民生活の質の確保との両立を重視しています。
旅行者向けの環境配慮だけでなく、混雑、廃棄物、交通、地域住民への影響まで含めて設計することが必要です。
- 地産地消の食材を活用し、生産者への還元を説明する飲食店
- 省エネや使い捨てプラスチック削減の実績を開示する宿泊施設
- 少人数制や時間帯分散で地域文化と住民生活に配慮するツアー
取り組み内容を多言語で具体的に示せば、旅行者や旅行会社が比較・選択しやすくなります。抽象的な「環境にやさしい」という表現だけでなく、地域への還元方法を提示することが信頼につながります。
出典:観光庁「第5次観光立国推進基本計画」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku.html
企業・自治体が下半期に向けて取るべきインバウンド戦略
【マーケティング担当者向け】データに基づくターゲット選定と広告最適化
企業がインバウンド需要を獲得するには、国・地域別の訪日外客数だけでなく、自社の閲覧、予約、来店、購買データを組み合わせることが重要です。市場規模が大きくても、自社の商品や地域との相性が低ければ、広告投資の効率は上がりません。自社の強みや特性を考慮したデジタルマーケティングが重要です。
- SNS戦略の最適化:国籍だけで媒体を固定せず、検索・SNS・動画ごとの予約貢献を計測する
- 多言語Webサイトの改修:主要な予約・購入ページを優先し、機械翻訳後は母語話者が確認する
- ターゲットの絞り込み:客数、消費単価、滞在日数、季節性、自社との適合度を比較する
広告費は一度に特定市場へ集中させず、少額テストで獲得単価や予約率を確認してから配分を広げます。中国市場のような急変にも備え、複数市場を持つポートフォリオ型の運用も有効です。
【自治体担当者向け】地方の魅力を活かした高付加価値化と受け入れ環境整備
地方自治体が訪日客を呼び込むには、地域資源を高付加価値な体験(高付加価値コンテンツ)に磨き上げると同時に、住民生活への影響と受け入れ環境を確認する必要があります。
【地方誘客に向けた3つのステップ】
1. 宿泊・周遊・消費データを確認し、狙う市場と地域課題を定める
2. 地域資源を予約可能な商品に整え、ガイド・決済・多言語案内を用意する
3. 海外旅行会社やOTA、SNSでテスト販売し、実績データをもとに改善する
ゴールデンルートにはない静けさや本物の体験をアピールすることで、滞在日数の延長と消費額の増加が期待できます。
成果は来訪者数だけでなく、延べ宿泊者数、1人当たり消費額、閑散期の稼働、住民満足度でも評価を行います。量と質の両面を追うことで、地域への経済効果と持続可能性を両立しやすくなります。
【経営層向け】多言語対応や新規店舗開発など本格的な投資判断のポイント
インバウンド市場への投資を検討する経営層は、客数と収益性を分けて判断する必要があります。一過性の流行ではなく持続可能なビジネスモデルであるかを見極める必要があります。2026年上半期の訪日外客数は前年同期比2.0%減でしたが、4〜6月期の旅行消費額は0.2%増、1人当たり旅行支出は3.3%増でした。客数が伸びない局面でも、単価や生産性を高める余地があります。
- 人材投資:対象言語と接客場面を絞り、採用・研修・外部通訳を組み合わせる
- DX投資:モバイルオーダーやセルフチェックインの導入前後で待ち時間と売上を測る
- 設備投資:新規出店や客室改修は、需要予測と稼働率の感度分析を行って段階的に進める
2,100万人を超える市場規模は需要の大きさを示しますが、それだけで個別投資の妥当性は判断できません。対象市場、立地、客単価、稼働率、人件費を前提に複数シナリオを試算し、小規模な実証から本格投資へ進むことがリスクを抑えるポイントです。
よくあるご質問
2026年上半期で一番訪日外国人が多かった国はどこですか?
2026年上半期(1〜6月累計)で最も訪日外客数が多かった国は韓国で、567万5,100人でした。次いで台湾397万2,200人、中国205万8,200人、米国182万1,700人です。2026年の数値はJNTOの推計値です。
中国からの訪日外国人が減少しているのはなぜですか?
JNTOは、中国政府による日本への渡航回避の注意喚起や、航空便の減便などを主な要因として挙げています。2026年上半期の中国市場は前年同期比56.4%減でした。一方、韓国、台湾、米国などの増加により、訪日外客数全体の減少幅は2.0%にとどまりました。
地方自治体が訪日外国人を呼び込むための具体的な第一歩は何ですか?
まず、自地域を訪れる外国人の国・地域、宿泊日数、周遊経路、消費額などの傾向を把握します。その上で、予約可能な体験商品と、多言語案内、キャッシュレス決済、無料Wifi、二次交通などの受け入れ環境を小さく試すのが具体的な第一歩です。
まとめ:2026年上半期のデータから見据えるインバウンド市場の未来
2026年上半期の訪日外国人数は2,108万人を超え、高い水準で推移しています。2年連続で2,000万人を超え、韓国・台湾・米国などは前年同期を上回っています。韓国・台湾・米国などの主要市場が市場を牽引し、東南アジアや欧州からの旅行者も増加傾向です。
下半期に向けては、国・地域別の客数、消費単価、滞在日数、航空路線、自社・地域の実績を組み合わせて施策を選びましょう。
地方誘客や体験商品の造成では、予約・移動の利便性と住民生活への配慮も欠かせません。最新データを定期的に見直し、小さく検証しながら投資を広げることが、持続的な成果につながります。
